包丁の切れ味が落ちてきて、そろそろ買い替えかと考えている。
でもグローバルは2万円近い。
その値段を出す価値が本当にあるのか、踏み切れずにいる。
我が家は2014年3月に、グローバルの三徳3点セット(GST-B46)を買いました。
それから今日まで、同じ包丁を使い続けています。
12年です。
刃こぼれはありません。
サビも出ていません。
一度も買い替えていません。
ただ、切れ味は確実に落ちました。
そして今回この記事を書くために公式サイトを読み直して、その原因が包丁ではなく私の手入れにあった可能性が高いと分かりました。
この記事では、12年使った実物の状態と、セットに入っているペティナイフとシャープナーが実際どうだったか、そして今も残っている不満を書きます。
新品レビューでは書けないことだけを書きます。
読み終わる頃には、2万円近い出費が自分にとって高いのか安いのか、判断がつくはずです。

GLOBAL 三徳3点セット(GST-B46)とはどんな包丁か
新潟県燕市で、世界にただ一か所だけの工場で作られている
グローバルを作っているのは、新潟県燕市の吉田金属工業株式会社です。
本社と工場の住所は、新潟県燕市吉田西太田2078-3。
1954年に設立され、もとは洋食器メーカーとして始まった会社です。
沿革によると、同社は1966年に国内唯一のステンレス鍛造刃物の一貫製造体制を築いています。
そして1983年、オールステンレス一体構造の包丁「GLOBAL」を発売しました。
公式サイトは燕市のこの工場を、GLOBAL包丁の「製造業務を担う世界で唯一の場所」(吉田金属工業)と書いています。
どの国のどの店で売られているグローバルも、この燕市の工場から出ているということです。
燕市は金属加工の産地で、このブログでも同じ燕市の宮崎製作所が作るジオプロダクトの鍋を紹介しています。
包丁と鍋という違いはあっても、同じ土地の技術です。

「包丁は木柄」の常識を外したところから始まった
公式のブランドストーリーによると、GLOBALは「包丁は木柄」という当時の常識にとらわれない発想から生まれた包丁です。
刃も柄も一本のステンレスでできている。
1983年の発売当時、これはかなり異質なものだったはずです。
広まり方も少し変わっています。
公式は、削ぎ落とした美しさがまず世界中で人気を博し、国内での評価はそのあとから徐々に高まっていったと書いています。
日本で生まれた包丁が、先に海外で認められ、逆輸入のような形で日本の家庭に定着していったということです。
私が2014年に「オールステンレスの包丁は珍しい」と感じたのも、たぶんその流れの途中にいたからだと思います。
発売から30年経っていたのに、当時の私にはまだ見慣れないものでした。
公式はこの包丁の価値を、こう表現しています。
心地よい切れ味と耐久性、さらに衛生面やデザイン。
12年使った今、この4つはそのまま実感と一致します。
どれか1つが突出しているというより、欠けているものがない包丁でした。
セットの中身とスペック
3点セットの内訳は、三徳・ペティナイフ・シャープナーです。
| 三徳 G-46 | ペティ GS-3 | シャープナー GSS-01 | |
|---|---|---|---|
| 全長 | 31cm | 26cm | 横10.5cm |
| 刃渡り | 18cm | 13cm | — |
| 重さ | 175g | 110g | — |
| 材質 | 刃物用ステンレス(モリブデン・バナジウム入) | 同左 | 本体:ステンレス/研ぎ部:アルミナセラミックス |
2014年3月、なぜこの包丁を選んだか
きっかけは、きちんとした日本製の包丁が欲しいと思ったことでした。
当時、人気のあるメーカーをいくつか調べています。
最後まで残ったのは、貝印・藤次郎・グローバルの3社でした。
最後にグローバルを選んだ理由は、はっきり覚えています。
柄まで含めて全部がステンレスでできている、という構造そのものに惹かれました。
今でこそオールステンレスの包丁は珍しくありませんが、当時の私にはかなり物珍しく見えました。
継ぎ目がない包丁を、一度試しに使ってみたい。
選んだ動機は、性能の比較というよりその興味のほうが大きかったと思います。
もうひとつ、それまで使っていた包丁への不満もありました。
刃と柄の境目に黒ずみが溜まって、洗っても取れなくなっていたことです。
気持ち悪いけれど、買い替えるほどでもない。
そんな状態が何年か続いていました。
実際に払ったのは14,000円でした。
当時の私にとって、包丁に出す金額としては明らかに高いほうです。
それでも踏み切ったのは、あの黒ずみをもう見たくなかったからでした。
12年使って分かったこと
切れ味は落ちる。ただし「切れなくなる」わけではない
正直に書きます。
切れ味は、買った当初と比べて明らかに落ちました。
トマトの薄切りが少し潰れるようになりました。
鶏肉の皮も、以前ほどすっと入りません。
研げばある程度は戻りますが、買った直後の切れ味までは戻らなくなっています。
ここ数年、そろそろ買い替えてもいいかなと考えていました。
それでも使い続けてきたのは、使えないほどではないからです。
きちんと研げば、毎日の料理には何の支障もありません。
ちなみにこの「買い替えようか」という考えは、記事を書いている途中で変わりました。
理由は最後に書きます。
12年目の状態は「劣化した」ではなく「全盛期ではない」と書くのが正確です。
12年間、砥石を一度も使っていませんでした
この記事で一番書いておきたいのが、ここです。
我が家の手入れは、付属のスピードシャープナー(GSS-01)だけでした。
切れが悪いなと思ったときに引く。
頻度は数か月に1回。
それを12年続けてきました。
砥石は一度も使っていません。
今回、公式サイトを読み直して、シャープナーの説明にこう書かれているのを見つけました。
軽く手前に10回程度引いていただくことで、切れ味を一時的に蘇らせることが出来ます
一時的に、です。
同じページには「簡易的な日常使い用としてお勧め」(吉田金属工業)とも書かれています。
つまりこれは応急処置の道具であって、本格的に研ぐための道具ではありません。
砥石については、公式は市販のステンレス製品対応の砥石を試すよう案内しています。
私はその案内を、12年間読んでいませんでした。
切れ味が戻り切らなくなった原因が、包丁の寿命なのか、私が本研ぎをしてこなかったせいなのか。
どちらかは断定できません。
ただ、おそらく後者でしょう。
12年間一度も砥石を当てていない包丁が全盛期の切れ味を保っていたら、そのほうが不自然です。
同じ使い方をしている方は、買い替えを考える前に一度砥石を試したほうがいいと思います。

刃こぼれ・欠け・サビは、ほぼ出ていない
見た目の劣化はほとんどありません。
刃こぼれなし。
欠けなし。
サビも出ていません。
12年間、家庭料理でほぼ毎日使ってこの状態です。
オールステンレス一体構造の耐久性は、少なくとも我が家の使い方の範囲では本物でした。

継ぎ目がないと、洗うのが本当に楽
買う動機のひとつがこれだったので、一番期待していた部分です。
期待どおりでした。
構造がシンプルなので、手入れがとにかく楽です。
スポンジでひと撫でして終わり。
汚れが溜まる場所がないので、そもそも溜まりません。
買う前に気になっていた黒ずみは、12年経っても発生しようがありませんでした。
刃と柄の間に継ぎ目のある包丁に戻る気は、今もありません。

175gの重さと、夫婦での使い分け
三徳G-46の重さは175gです。
私はこの重さが気になったことがありません。
むしろ重さで切れるので、力を入れずに済みます。
濡れた手で握って滑ったことも、12年で一度もありません。
柄の表面にあるディンプル(くぼみ)が効いているのだと思います。
面白いのは、夫婦で手に取る包丁が違うことです。
私は三徳を選ぶことが多く、妻は110gのペティを選ぶことが多い。
同じ台所に立っていても、手に合うサイズは人によって違うようです。
結果として、2本入っているセットを買ったことが効きました。
12年使ってなお、残っている不満
いいところばかり書いてきたので、正直な不満を書きます。
12年使って残っているのは、2つだけでした。
研いでも全盛期には戻らない
これが最大の不満です。
シャープナーで研げば、ある程度は復活します。
ただ「ある程度」です。
最近は研いだ直後でも、切りにくさが少し残るようになってきました。
砥石を試していない以上、包丁のせいだと断定はできません。
それでも、12年目の使用者として感じている実感はこれです。
食洗機に入れられない(そして私は入れてしまっている)
公式の回答ははっきりしています。
サビの発生につながる可能性があるので使用しないでください
推奨されているのは、中性洗剤での手洗い、水気を拭き取ってから風通しの良い場所で保管する方法です。
白状すると、我が家では毎回ではないものの、何度も食洗機に入れています。
今のところサビも変色も出ていません。
ただ、これを「だから大丈夫」とは書けません。
メーカーが明確に禁じている以上、真似をして問題が出ても誰も責任を取れないからです。
我が家で問題が出ていないのは、たまたま条件がよかっただけかもしれません。
食洗機にすべて任せたい家庭には、この包丁は向きません。
不満は、この2つだけです。
12年使った道具に対して残っている文句がこれだけというのは、我ながら少ないと思います。
3点セットは、買う価値があるか
買うとき、三徳1本だけにするかペティも入ったセットにするかで迷いました。
12年経った今の答えははっきりしています。
セットで買って大満足でした。
3本それぞれに、この12年で役割が決まったからです。
順番に書きます。
ペティナイフは想像以上に出番がある
セットのペティは使わずに引き出しの奥にしまわれる。
買う前はそう思っていました。
外れました。
改めて我が家の使用頻度を確かめたところ、三徳とペティはほぼ同じくらい使われていました。
果物の皮むき、小さい野菜の下ごしらえ、細かい作業はほとんどペティです。
公式もGS-3を、食材を手に持って皮をむく作業に向く小型の万能包丁と説明しています。
まさにその通りの使われ方をしています。
セットのおまけではなく、2本目の主力でした。
家族で台所に立つ家なら、2本あることに意味があります。

シャープナーは「最初から手元にある」ことに価値がある
シャープナーが万能でないことは、先に書いたとおりです。
それでも、セットに入っている意味はあると思っています。
包丁を買ったその日から、手入れの道具が手元にあるからです。
別で買うとなると、たいてい後回しになります。
そして切れ味が落ちてから慌てて探すことになります。
私がそうならなかったのは、箱に入っていたからです。
ひとつ注意点があります。
GSS-01は両刃のステンレス製グローバル包丁専用です。
GLOBAL-ISTやGLOBAL-PROシリーズには使えません。
出刃・柳刃・パン切り・チーズナイフのような片刃や波刃の包丁にも使えません。
家にある他の包丁もこれで研げると思って買うと、当てが外れます。

単品でそろえるより、セットのほうが安い
公式通販の価格で比べると、三徳・ペティ・シャープナーを単品で3つそろえるよりも、3点セットのほうが安く買えます。
金額は時期や店によって変わるので、購入時に確認してください。
我が家で12年かけて固まった役割分担は、こうなりました。
| 主な用途 | 我が家での担当 | |
|---|---|---|
| 三徳 G-46(18cm) | 肉・魚・野菜の全般 | 手に取るのは主に私 |
| ペティ GS-3(13cm) | 皮むき、小さい食材の下ごしらえ | 手に取るのは主に妻 |
| シャープナー GSS-01 | 日常の切れ味戻し | 数か月に1回 |
三徳とペティの使用頻度は、ほぼ同じです。
どちらかが余る、ということにはなりませんでした。
向いている人・やめたほうがいい人
買う前に知っておいてほしいことを、正直に分けて書きます。
向いている人
- 刃と柄のつなぎ目に溜まる黒ずみが気になっている人
- 洗う手間・手入れの手間を減らしたい人
- 10年以上使うつもりで道具を買いたい人
- 家族で台所に立ち、包丁を使う人が複数いる家庭
やめたほうがいい人
- 食洗機にすべて任せたい人
- 研ぐ手間を一切かけたくない人(どんな包丁も、研がなければいずれ切れなくなります)
- 出刃や柳刃など、和包丁の用途を求めている人
買う前に知っておきたい、手入れのこと
公式の手入れ方法と、我が家の実際
公式の案内はシンプルです。
中性洗剤で手洗いし、水気をよく拭き取り、風通しのよい場所で保管する。
あわせて、塩分や酸性の食品を切った後は早めに洗うこと、他の金属製品と長時間触れさせないこと、漂白剤を使わないことが挙げられています。
正直に書くと、我が家はこの通りにやっていません。
洗った後に拭いていないからです。
洗ったら水切りかごの包丁立てに挿して、完全に乾いてから引き出しにしまう。
12年間ずっとこのやり方です。
公式が案内している「拭き取ってから保管」とは違いますが、サビは出ていません。
完全に乾かしてから収納する、という部分は結果的に守れていたからだと思っています。
食洗機の件も含めて、我が家は模範的な使い方ではありません。
その上でサビが出ていない、という記録として読んでください。
買い替えをやめました。研ぎ直しサービスに出します
先ほど「買い替えようという考えが途中で変わった」と書いた理由が、これです。
吉田金属工業には研ぎ直しサービスがあります。
公式は、職人の手作業で新品同様の切れ味まで戻すと説明しています。
今回この記事を書くために公式サイトを読んで、初めて知りました。
12年間、砥石を使わず、メーカーに出すという選択肢も知らないまま、切れ味が落ちたと言っていたわけです。
包丁に文句を言う前に、やっていないことがまだ2つも残っていました。
なので買い替えはやめます。
まずは研ぎ直しに出して、この包丁をもう少し使ってみるつもりです。
同じように買い替えを考えている方は、その前に一度これを試してみてください。
12年経った今、買い足したいもの
満足度がどのくらいかを一番正直に表すのは、買い足したいかどうかだと思います。
今、3つ気になっているものがあります。
- GS-58(皮むき 10cm) — 今は別メーカーのものを使っているので、買い替え候補
- GS-61(ベーグル/サンドイッチナイフ 16cm) — 我が家では米粉パンを切るのに活躍しそう
- GSS-02(GLOBALシャープナー) — 付属のGSS-01より本格的なもの
3つ目が今回の反省そのものです。
GSS-02は、荒研ぎ用と仕上研ぎ用の2種類の砥石を組み合わせた構造で、公式は「GLOBALらしい滑らかな切れ味を回復させる」(吉田金属工業)と説明しています。
GSS-01が一時的な応急処置なのに対して、こちらは研ぐための道具です。
12年前に一緒に買っていれば、切れ味の話は違っていたかもしれません。
まとめ:12年使って分かったこと
2014年3月に買った三徳3点セットを、12年使ってきました。
分かったことを並べます。
- 刃こぼれ・欠け・サビはほぼ出ない。耐久性は本物だった
- 継ぎ目のない構造は、洗う手間が本当に少ない
- ペティは引き出しの肥やしにならない。三徳と同じくらい使っている
- 付属シャープナーは応急処置の道具。これだけで全盛期の切れ味は保てない
- 切れ味は落ちる。ただし、使えないほどではない
12年で分かった一番大事なことは、包丁より先に自分の手入れを疑うべきだった、ということかもしれません。
シャープナーだけで12年通してしまったのは、道具の問題ではありませんでした。
買い替えではなく研ぎ直しに出すと決めたのも、そう思ったからです。
そして皮むきやサンドイッチ用のナイフまでグローバルで揃えたくなっている時点で、この12年の答えは出ているのだと思います。
これから買う人は、私が払った金額より高い出費になります。
それでも、10年単位で使える道具だと分かった今なら、私は同じ買い物をします。
毎日握るものに払う金額としては、悪くない部類でした。
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