椅子に13万円は、さすがに出しすぎではないか。
2025年の引越しを機に書斎を作ったとき、私が一番長く迷ったのがそこでした。
机も照明も本棚も、だいたいは予算どおりに決まります。
椅子だけが決まらない。
2万円台で十分という声もあれば、椅子だけは金をかけろという声もあります。
どちらも正しそうに聞こえるのが、いちばん困るところでした。
結局選んだのが、イトーキのアクトチェアです。
エラストマー背のエクストラハイバック、型番はKG427JEE。
イトーキ公式の楽天ストアで、クーポンを使って131,000円でした。
あれから1年2ヶ月。
在宅勤務の日は8時間、休日もブログを書いたり本を読んだりで座っています。
結論を書くと、へたりも軋み音も今のところ出ていません。
そのうえで、不満は4つあります。
特にヘッドレストまわりは、人によって評価が割れる部分です。
そこを隠して「買ってよかった」だけ書いても選ぶ材料にならないので、後半で正直に並べます。
10万円を超える椅子で迷って止まっている方が、読み終わる頃に自分に必要かどうか判断できる。
そこを目指して書きました。

数あるオフィスチェアからアクトチェアを選んだ理由
買い替えではなく、ゼロから書斎を作る話でした。
それまで家に仕事専用の机はなく、リビングのダイニングテーブルでノートパソコンを開いていました。
引越しで2階に一部屋を確保できたので、机と椅子を同時に選ぶことになります。
机はウォールナットのジサクテーブルに決めました。
無垢材の落ち着いた机です。
そこに合わせる椅子となると、条件は自然と絞られました。
日本製であること。
8時間座っても夕方に腰が張らないこと。
そして、無垢材の机の前に置いて見た目が喧嘩しないこと。
ゲーミングチェアは3つ目の条件で外れました。
赤や青のステッチが入ったバケットシートは、ウォールナットの机とは合いません。
アーロンチェアのような海外製の高級モデルも一度は見ましたが、20万円を超えると書斎全体の予算が崩れます。
「日本製」で絞ると、候補は一気に減った
意外だったのは、日本製という条件を入れた瞬間に選択肢が減ったことでした。
最初に外れたのが、同じイトーキのサリダチェアです。
在宅ワーク向けとして人気があって、価格もアクトチェアよりずっと安い。
ただ、公式サイトの仕様欄を見るとYL6は台湾製と明記されています(2026年9月時点で税込29,990円)。
サリダの全モデルが海外製というわけではないので、気になる方はモデルごとに仕様欄を確認してください。
残った日本製の候補が、オカムラのライブスと、プラスのレナでした。
ライブスはリビングに置いても浮かない柔らかいデザインで、書斎の雰囲気には合いそうでした。
レナは背・肘・脚を細かく選べるのが特徴で、日本製モデルが5万円台から見つかります。
| 候補 | 日本製 | 特徴 | 私の判断 |
|---|---|---|---|
| イトーキ アクトチェア | ○ | 調整機能が多い。4Dリンクアーム | これを購入 |
| イトーキ サリダ | モデルによる | 価格が安い。YL6は台湾製 | 日本製の条件で外れた |
| オカムラ ライブス | ○ | 柔らかいデザイン。シンプル | 調整機能でアクトへ |
| プラス レナ | ○ | 背・肘・脚を細かく選べる | 同上 |
※価格と製造国は構成や販売店によって変わります。購入前に公式の仕様欄で確認してください。
ちなみに、アクトチェアがどこで作られているのかも調べました。
イトーキ公式の楽天ストアの商品ページに、関西工場(滋賀県)で生産していること、加工・組立て・検査という全工程を国内で行っていることが明記されています。ISO9001の認定工場だという記載もあります。
「日本製」と書いてあっても、どこまでを国内でやっているのかは商品によって違います。
工程まで書いてあるのは、選ぶ側としては安心材料でした。
ライブスとレナは実際に買っていないので、座り心地を比べたとは言えません。
それでもカタログの調整機能を並べたとき、座奥行調節とランバーサポート、そして4Dリンクアームまで揃っているのはアクトチェアでした。
決め手になったのは、その肘です。
アクトチェアの「4Dリンクアーム」は、上下、前後、肘掛け全体の回転、肘パッド単体の回転と、4方向に動きます。
カタログで可動方向を数えたとき、この幅は他社の椅子と明らかに違いました。
キーボードを打つときと、本を読むときと、背もたれに体を預けるとき。
それぞれで腕を置きたい位置は違うのに、多くの椅子は上下にしか動きません。
背もたれは、エラストマーかメッシュか
構成でもう一つ迷ったのが、背もたれの素材でした。
アクトチェアは同じシリーズでメッシュ背も選べます。
夏場の蒸れを考えると、メッシュはかなり魅力的でした。
それでもエラストマーにしたのは、支えられている感覚が欲しかったからです。
エラストマーは樹脂を細いバー状に成形した背もたれで、しなりながら背中を押し返してきます。
メッシュのように面で受け止めるのではなく、背骨の動きに合わせて形が変わる構造です。
在宅勤務で8時間預ける相手として、面で支えるより点で追従してくれるほうが合うと考えました。
もうひとつ、長く使う前提での判断もありました。
メッシュは布を張った構造なので、年数が経つと伸びやたるみが出ることがあります。
エラストマーは樹脂そのものなので、そこは起きにくいはずだと踏みました。
この読みが当たっていたかどうかは、1年2ヶ月経った今の状態が答えになります。
正直に書くと、実物に座ってから決めたわけではありません。
近くに展示があるわけでもなく、仕様と口コミを読み込んで決めました。
13万円の買い物で試座なしというのは我ながら思い切った判断でしたが、結果的にこれは外していません。
もし柔らかく包まれる感触が好きなら、メッシュのほうが合う可能性はあります。
エラストマーは反発があるぶん、硬いと感じる人はいるはずです。
試せる場所が近くにあるなら、両方に座ってから決めるに越したことはありません。
「公式ストアモデル」という選択肢
アクトチェアには、オフィス向けの通常モデルとは別に、イトーキ公式ストア限定のモデルがあります。
私が買ったKG427JEEもそれです。
法人向けの見積もりを取る必要がなく、通販のカートで完結します。
色やキャスターの組み合わせがあらかじめ絞られている代わりに、価格がはっきり表示されているのがありがたいところでした。
購入したのは2025年7月10日。
通常価格138,000円から7,000円OFFクーポンで、支払いは131,000円です。
参考までに、2026年9月現在の同じページは通常価格145,000円になっています。
値上げなのか一時的なものなのかは分かりませんが、7,000円の差はあります。
クーポンは時期によって出たり消えたりするので、購入前に必ず確認してください。

届いた日にわかったこと:組み立ては数分、運搬が本番
チェアは完成品で届きます。
やることはヘッドレストの取り付けだけです。
付属の六角レンチでネジを締めるだけなので、数分で終わりました。
オフィスチェアの組み立てで消耗した経験がある方なら、この一点だけでも価値があると思います。
苦労したのは、そこではありませんでした。
梱包サイズが、幅77cm×奥行74cm×高さ107cm。
総重量30.2kgの一個口です。
これを玄関から2階の書斎まで運ぶのが、この日いちばんの重労働でした。
階段の踊り場で一度止まって、体勢を組み直したのを覚えています。
運び終わった後は、今度は空箱の解体が待っていました。
2階以上に置く予定で、しかも一人で受け取るなら、その日は他の予定を入れないほうがいいです。
1年2ヶ月使って、へたりも軋み音も出ていない
高い椅子を買うときに一番不安なのは、1年後の姿だと思います。
座面が沈んだまま戻らなくなる。
体重をかけるたびにギシギシ鳴る。
キャスターが転がらなくなる。
2万円台の椅子でよく起きることです。
1年2ヶ月使った今の状態を書きます。
座面は、買った当初とほとんど変わりません。
中央がへこんで戻らないという状態にはなっていないです。
私の使い方だと、毎日使うわけではありません。
在宅勤務の日(月に数回)は8時間、休日もブログを書いたり本を読んだりで数時間座ります。
妻も在宅勤務の日に使うので、1台を2人で使い回している格好です。
それでこの状態なら、耐久性の心配はしなくていいと判断しています。
エラストマーの背も、伸びやたるみは出ていません。
選ぶときに一番気にしていたのがここだったので、正直ほっとしています。
バーを1本ずつ指で押しても、買った当初と同じように跳ね返ってきます。
手入れは、たまに固く絞った布で拭くくらいです。
穴の開いた形状なので通気も悪くなく、夏場に背中が蒸れて困ったことはありませんでした。
軋み音も出ていません。
アクトチェアは可動部が多い構造なので、経年で異音が出た個体の報告はネット上にもあります。
ただ、うちの1台に関しては、体重をかけて背もたれを倒しても静かなままです。
キャスターは「抵抗付ウレタン双輪キャスター」を選びました。
ナイロン双輪との2択で、価格は同じです。
ウレタンにしたのは、書斎がフローリングだったからでした。
硬いナイロンで無垢の床に傷が入るのを避けたかったのが理由です。
「抵抗付」というのは、座っていないときに椅子が勝手に転がらない仕様のこと。
立ち上がった拍子に椅子が後ろに逃げていくことがなく、これは地味に効いています。
床材がフローリングなら、ウレタンを選んでおいて損はないと思います。


4Dリンクアームは、評判どおりだった
購入の決め手にしただけあって、ここは期待を裏切りませんでした。
わかりやすいのは、キーボードを打つときと本を読むときの差です。
タイピング中は、肘掛けを高めにして肘を90度で支えます。
肩の力が抜けるので、夕方の肩の張り方が明確に違いました。
本を読むときは、肘掛けを前に出して、肘パッドを内側に回します。
腕を体の前で組むような角度になって、本の重さを椅子が受けてくれる格好です。
これは上下にしか動かない肘掛けでは作れない姿勢でした。
肘掛けは「腕を置く場所」ではなく「上半身の重さを逃がす場所」だと、この椅子で初めて分かりました。
数字の上では、上下・前後・アーム回転・肘パッド回転の4方向。
カタログではそれだけの話です。
実際に使うと、1日のなかで無意識に3回も4回も動かしています。

エクストラハイバックを選んで正解だった理由
アクトチェアには背もたれの高さが複数あります。
私が選んだのは、ヘッドレストの付くエクストラハイバックです。
ここは価格差が出る部分なので、迷う人が多いところだと思います。
ヘッドレストが効くのは「打っていない時間」
使ってみて分かったのは、ヘッドレストが活きるのはタイピング中ではないということでした。
文章を打っている間は、体は少し前に傾いています。
頭は預けていません。
頭を預けているのは、その前後です。
次に何を書くか考えている時間。
画面のサイトをじっくり読んでいる時間。
動画を見ている時間。
そういうときに、自然と後ろに体重を預けています。
アクトチェアは背もたれを最大20°まで倒せるので、少し休憩したいときはさらに深く倒せます。
このとき頭を支えるものがないと、首だけが宙に浮いた状態になる。
ヘッドレストがないと成立しない姿勢です。
在宅勤務とブログ執筆が半々の私の使い方だと、この「考えている時間」がかなりの割合を占めます。
だから私にとっては必須の装備でした。

全員に必要な装備ではない
ただ、これは万人向けの結論ではないと思っています。
ひたすら手を動かす作業が中心の人なら、頭を預ける時間はほとんど発生しません。
その場合、ヘッドレスト分の価格差は回収しにくいはずです。
差額を具体的に出しておきます。
同じ公式ストアモデルで、背もたれ以外の構成(エラストマー背・4Dリンクアーム)がそろったもの同士の比較です。
| モデル | 型番 | 価格(税込) |
|---|---|---|
| ハイバック(ヘッドレストなし) | KG427SA | 125,000円 |
| エクストラハイバック(ヘッドレスト付) | KG427JEE | 145,000円 |
差は20,000円です(2026年9月時点、イトーキ公式ストア)。
自分が椅子に座っている時間のうち、どのくらいが「考えている時間」なのか。
そこを数えて、2万円と釣り合うかを見てから決めるのが確実だと思います。
正直に書くと、不満は4つある
1年2ヶ月使って、大きな不満はありません。
それでも挙げるなら4つです。
1つ目は、梱包の大きさです。
組み立てが楽な代わりに、箱が大きくて重い。
2階への搬入と箱の解体で、購入日の体力を使いました。
2つ目は、ヘッドレストの調整ができないことです。
上げ下げも、角度を変えることもできません。
私の身長では問題ない位置に収まりましたが、背の高い方や低い方は、店頭で一度頭を預けてみたほうがいいです。
ここが合わないと、せっかくの装備が使われないまま終わります。
3つ目は、座面の奥行です。
座奥行の調節機能は付いているのですが、操作は少しやりにくい。
そして調節幅を最大にしても、あぐらをかくにはギリギリの奥行です。
かけないことはないのですが、もう少し余裕が欲しいところでした。
椅子の上で足を組んで長時間過ごしたい人には物足りないと思います。
4つ目は、上着を掛ける場所がないことでした。
ハンガー機能は付いておらず、後付けもできません。
ヘッドレストは形状的に上着を掛けにくいので、脱いだ上着はヘッドレストに雑に乗せるか、クローゼットに戻しています。
1万円以下の椅子でも付いていることがある機能なので、ここは素直に残念な点です。
妻と子どもの反応
1台を家族で共有しているので、そちらも書いておきます。
妻は在宅勤務の日に使っていて、不満は聞いていません。
体格が違っても座面高や肘の位置を合わせられるので、同じ椅子を2人で使い分けられているのはこの調整幅のおかげだと思います。
子どもは、買った当初がいちばん大変でした。
新しい椅子が面白いらしく、座ってはクルクル回る。
13万円の椅子です。
「おもちゃじゃないから遊ばないで」と、しばらくは何度も言い続けました。
今は落ち着きましたが、私が座っているとたまに一緒に座りたがります。
膝に乗せると嬉しそうにしているので、まあこれはこれでよかったのかもしれません。
小さいお子さんがいる家庭では、最初の数週間は目を離さないほうがいいと思います。

向いている人、そうでない人
1年2ヶ月使った実感から整理します。
向いているのは、在宅勤務が週2日以上あって、1日6時間以上座る人です。
そして、考えたり読んだりする時間が長い人。
ヘッドレストの価値がはっきり出ます。
無垢材の机や落ち着いた色の家具で部屋をまとめている人にも合います。
黒のエラストマー背は主張が強くなく、ダックブルーとホワイトグレーの選択肢もあります。
向かないのは、椅子の上であぐらをかきたい人。
座面の奥行がそこまで伸びません。
上着をハンガー機能で掛けたい人も、別の椅子か別のハンガーが必要になります。
出社が中心で、家ではメールを見る程度という使い方なら、この価格帯まで出す必要はないと思います。
購入情報と、選ぶときに決めること
日本製、保証は最大3年(外観1年、機構部2年、構造部材3年)。
公式ストアモデルは通販で完結します。
注文時に決めることは3つです。
| 項目 | 選択肢 | 私の選択 |
|---|---|---|
| バックの高さ | ハイバック / エクストラハイバック | エクストラハイバック |
| キャスター | ナイロン双輪 / 抵抗付ウレタン双輪 | 抵抗付ウレタン双輪 |
| カラー | ブラック / ダックブルー / ホワイトグレー | ブラック |
今から買うなら、後継の「アクト2」も選択肢に入る
ひとつ正直に書いておきます。
私が買ったのは「アクト」ですが、現在は後継の「アクト2」が並行して売られています。
同じブラック・ウレタンキャスターの構成で比べると、アクト2は149,150円。
私のアクトが131,100円なので、18,000円ほど高い計算です(2026年9月時点のAmazon)。
イトーキの公式サイトによると、アクト2は座面に「レスピテック」という2層構造の新素材を採用していて、腰まわりのサポートも骨盤と腰椎の2点で支える方式に変わっています。
座面の素材が変わっているので、座り心地は別物の可能性があります。
ただ、私はアクト2を使っていません。
座り比べていない以上、どちらが良いとは書けません。
言えるのは、アクトのほうが1年2ヶ月使ってへたりも軋みも出ていないという事実だけです。
新しい座面素材に18,000円を払うか、実績のある型を安く買うか。
そこは好みの問題だと思います。
サイズは数字が多いので、表にします。
本体のサイズ
| 項目 | サイズ |
|---|---|
| 幅 | 64〜78cm |
| 奥行 | 54〜61.5cm |
| 高さ | 115.5〜126.5cm |
| 座面高 | 44〜55.5cm |
| 重量 | 20.8kg |
届くときの梱包サイズ
| 項目 | サイズ |
|---|---|
| 幅 | 77cm |
| 奥行 | 74cm |
| 高さ | 107cm |
| 重量 | 30.2kg(一個口) |
部屋に置けるかどうかより、先に見てほしいのは搬入経路のほうです。
玄関のドア幅、階段の幅、踊り場の折り返し。
この3か所を測っておくと、届いた日に慌てずに済みます。
価格は時期とクーポンで動きます。
私が買ったときは通常138,000円から7,000円OFFで131,000円でした。
記事を書いている2026年9月時点では通常145,000円で、5%OFFクーポンが出ています。
クーポンの有無で1万円近く変わるので、急ぎでなければ配布時期を待つ価値はあります。
まとめ
イトーキのアクトチェア、エラストマー背のエクストラハイバックを1年2ヶ月使った記録でした。
座面のへたりも軋み音もなく、キャスターの転がりも買った日と変わりません。
4Dリンクアームは、腕を置くというより上半身の重さを逃がす装備として効いています。
ヘッドレストは、打っていない時間、つまり考えたり読んだりしている時間に真価が出ました。
一方で、梱包の大きさ、ヘッドレストの調整不可、座面の奥行、ハンガーの不在。
この4つは購入前に知っておいたほうがいい部分です。
13万円は、椅子1脚の値段としては確かに高い。
ただ、在宅勤務の日に8時間預ける相手だと考えると、1日あたりの金額はそれほどでもありません。
夕方に腰と肩が張らないまま一日を終えられるようになったのが、いちばんの変化でした。
書斎の主役は机だと思って選び始めたのに、結果的に毎日いちばん体に触れているのは椅子のほうです。
同じところで迷っている方の判断材料になれば嬉しいです。


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